9月1日(土)、京都・西本梅の小学校旧校舎で開催のシネマ夏フェス「地球(ほし)とヒトが’笑う’映画祭」。厳選した映画作品の上映と多彩なジャンルのイベントで、参加者それぞれが自分らしい楽しみ方を選べる夏フェスです。
今回は、そんなシネマ夏フェスで上映する作品『聲の形』(こえのかたち)の見どころやおすすめポイントを紹介していきます。
本作は大今良時さんによる漫画『聲の形』をもとに制作されたアニメーション映画です。
物語は、主人公・石田将也が小学校6年生のとき、クラスに聴覚に先天性の障害を持つ西宮硝子が転入してきたことから始まります。クラスメイトたちは硝子をサポートしつつ仲の良い関係でしたが、硝子の障害が原因で授業に支障が出始めたことで、不満を募らせていきます。
将也は無邪気な好奇心から硝子をからかいますが、徐々にエスカレート。事態が表面化したとき、将也はクラスメイト全員から糾弾され、いじめの対象に。
わかりあえないまま、硝子は転校していってしまいます。
自責の念を持ち続けたまま高校3年生となった将也は、硝子のもとを訪れて「俺と西宮、友達になれるかな?」と伝えますが…
原作漫画は第19回手塚治虫文化賞新生賞や「このマンガがすごい!2015」オトコ編第1位などを獲得した人気作品で、別冊少年マガジン、週刊少年マガジンという少年誌での掲載、連載にもかかわらず幅広い年代、女性からも支持の厚い作品に。
映画『聲の形』は「第40回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品」をはじめとした様々な賞を獲受賞
いじめや自殺防止を目的とした文部科学省とのタイアップも行っています。
『聲の形』は、いじめや聴覚障害を取り扱っていながらも、それを「ウリ」にした作品ではありません。
人間関係や思春期の複雑な感情を繊細に描いたことで、多くの人から共感を得ました。
映画を制作したのは、『けいおん!』や『響け! ユーフォニアム』、『Free!』などのアニメ作品で知られる京都アニメーション。京アニが描くポップで可愛らしいキャラクターたちは、実在する人間のようにリアルな仕草で、人間らしさを持っています。映画『聲の形』の主人公・将也と硝子も、人物としてリアリティーをもって描かれているので、身近な存在のように感じられます。
人間関係がテーマというと重く感じがちですが、『聲の形』ではアニメならではのキャッチーさ、テンポの良さで気軽に見ることができます。絵柄の可愛らしさや背景の美しさに現れている技術力の高さも一つの見どころです。
また、ストーリーでは、自責の念を持ち続けていた将也が、硝子と再会して想いを伝えるシーンが見どころです。
映画『聲の形』は、人とのつながりや気持ちの伝え方について、改めて考えさせてくれる作品となっています。
現代では、「人間関係にまったくストレスを感じていない」という人の方が少ないのではないでしょうか。
シネマ夏フェスという特別な場所で『聲の形』という映画に触れ、自分を見つめなおすことで人間関係のジレンマを解消できるヒントになるかもしれません。
©大今良時・講談社/映画聲の形製作委員会